はじめに
株式会社インプルの奈良です。
先日、学生時代からの友人であるエンジニアから、「フリーランスになるから必要な手続きとか諸々教えてくれ」と相談されました。
その際に過去に国税局に勤めていた経験から友人に必要な経験をアドバイスしたのですが、フリーランス(個人事業主)として働くために必要最低限な手続きを改めて調べ直したため、友人や将来フリーランス(個人事業主)を目指すエンジニアのために記事を残していきます。
今回ご紹介する手続きは、フリーランスエンジニアだけではなく、個人事業主として働く際にも同様の手続きになるため、今後の参考になれば幸いです。
フリーランス(個人事業主)として働くために必要最低限な手続きについて
退職の手続き
もしあなたが現在会社員であれば、まず必要なのは退職の手続きになります。
退職は上司や人事・労務担当者に相談の上、退職日程や業務の引き継ぎ、保険証の返還が必要です。
職場によって退職するまでの手続きや規定は異なりますが、上司や同僚などお世話になった人々に迷惑をかけないように業務の引き継ぎはしっかりと行いましょう。
稀に退職後もう関わりがなくなるからといって、退職手続きを疎かにする人もいます。
しかし、仮に同県の同一業種として今後も就労する場合、独立後も他社を介して仕事で関わる可能性も考えられるため、先々のことを考えて正規の手続きを経て穏便に退職することを強くお勧めします。
国民健康保険や国民年金への加入手続き
ずっと会社員として働いてきた場合に忘れがちですが、退職すると社会保険や厚生年金から外れることになります。(通常、労務や区役所等で説明を受けることになると思います。)
日本では、退職後14日以内に国民健康保険と国民年金への加入が義務付けられているので、区役所等で手続きを済ませましょう。
こちらに加入しないと保険料や年金の追加支払いを請求されてしまうリスクがあるため、詳細は区役所やインターネットでしっかりと調べ、自身にメリットのある保険(任意継続の保険など)に加入するようにしましょう。
開業届の提出
フリーランス、いわゆる個人事業主として働く場合は、所轄の税務署に開業届を提出しましょう。
こちら正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」と言い、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類になります。
また、開業届の提出期限は開業日から1ヶ月以内です。
開業届を提出しなくても罰則はありませんが、後述する青色申告を行うために提出することをお勧めします。(節税に繋がります。)
青色申告承認申請書の提出
青色申告承認申請書を説明する前に、まずは個人事業主が行う必要がある確定申告について説明します。
確定申告には、「白色申告」「青色申告」の2種類があります。
白色申告とは、青色申告の承認を受けていない人が行う申告納税制度であり、提出書類や記帳方法が青色申告と異なります。青色申告に比べて簡単な書類の作成だけで確定申告ができるとだけ覚えておくといいでしょう。
では、青色申告についてです。
青色申告をするためには前述した開業届と合わせて、「青色申告承認申請書」を開業日から2ヶ月以内に所轄の税務署に提出する必要があります。
青色申告をすることでのメリットはいくつかありますが、白色申告と比較してどれも節税に繋がります。(提出書類等に条件はありますが、最大65万円の控除が受けられます。)
ここでは青色申告のメリットを簡記するだけに留めますが、詳しくはfreeeの下記サイトを閲覧し、白色申告との差異と併せて一読することをお勧めします。
※青色申告のメリット
【青色申告特別控除】
最大で65万円までの控除が受けられ、納税額を少なくすることができる。
【純損失の繰越控除】
純損失(赤字)を3年先まで繰り越すことが可能。
赤字になってしまった年の損失を全額繰り越せるので、翌年以降の税金対策に繋がる。
【青色事業専従者給与】
家族への給料を経費として申告できる制度。
青色専従者に給料を払ったり、白色専従者控除(白色申告の場合、専従者への給与が申告時に最大86万円まで控除できます)を受けると、配偶者控除や扶養控除が受けられなくなるので注意が必要である。
【少額減価償却資産の特例】
10万円以上のものや耐用年数1年以上ものは、固定資産という扱いになり減価償却が必要。しかし、青色申告の場合、30万円未満のものであれば、その事業年度の経費として一括処理が可能です(最大300万円まで)。
利益が大きくなりそうな年は、この制度を用いることで節税に繋げることができます。
まとめ
以上が、フリーランス(個人事業主)として働くために必要最低限な手続きになります。
今回の内容以外にも、フリーランス(個人事業主)として働く前にやっておくべきことについてや、消費税の申告有無について、また今年の10月1日から始まるインボイス制度に対応するために、企業とどのような契約を交わすべきか(税込or税抜の請求書を発行するか)などについても調べたので、後日改めて記事を投稿したいと思います。
フリーランスでも副業でも、自身の力で仕事の幅を広げることができるのがエンジニアの魅力ですが、税制周りを知っているか知らないかの差でかなりの収入の差が生まれます。
この手の知識はエンジニアの業務と同じで、待っていれば誰かが教えてくれる類のものではないので、時間を見つけ自身のキャリアのために学習することを強くお勧めします。