はじめに
株式会社インプルの奈良です。
JavaによるWeb開発を行う際、多くの開発者が選ぶフレームワークが「Spring Framework」と「Spring Boot」です。
しかし、これらのフレームワークが何であり、何をするものなのか、初学者には少し混乱するかもしれません。
この記事では、Spring FrameworkとSpring Bootの基本概念、特長、そして両者の違いについて簡単に解説します。
Spring Frameworkとは
Spring Frameworkは、エンタープライズレベルのJavaアプリケーションを効率よく、安全に開発するためのフレームワークです。以下のような多くの機能や特性があります。
主な特徴
- 依存性注入: コンポーネント間の依存関係を効率よく管理します。
- AOP(Aspect-Oriented Programming): 横断的な関心事(ロギング、セキュリティなど)を効率よく扱えます。
- データアクセス: JDBC, JPA, JMS, JNDIなど、多様なデータアクセスAPIに対応。
- MVCアーキテクチャ: モデル、ビュー、コントローラーを明確に分離できます。
Spring Frameworkが持つ機能
・Spring Security 認証・アクセス制御のためのフレームワーク
・Spring Batch バッチ処理開発のためのフレームワーク
・Spring Data データアクセス・永続化処理の為のフレームワーク。リレーショナルデータベースだけでなく、NoSQLにも対応
・Spring Session セッション管理のためのフレームワーク
・Spring Cloud 分散システム開発のためのフレームワーク
・Spring MVC Model・View・Controllerパターンを提供するためのフレームワーク
Spring Bootとは
Spring Bootは、Spring Frameworkを基盤として、より効率的に安全なアプリケーションを作成できるように設計されたフレームワークです。
主な特徴
- 簡単なセットアップ: ほとんどの設定は自動化されています。
- 組み込みサーバー: TomcatなどのWebサーバーが組み込まれています。
- 依存性管理: 必要なライブラリとそのバージョンを自動で管理します。
Spring Bootを用いるメリット
XML設定の簡略化
昔のSpring Frameworkでは、多くのXML設定が必要でした。
これは、特に大規模なプロジェクトでは管理が煩雑になる要因でした。
Spring Bootでは、Javaのアノテーションと自動設定によって、ほとんどのXML設定が不要になります。
コード量の削減
Spring Bootでは、一般的なアプリケーション開発におけるベストプラクティスが多く取り込まれています。そのため、開発者はプロジェクト固有のロジック構築に注力でき、冗長なコードの量を削減できます。
Jarファイルでの独立した実行
Spring Bootは「fat JAR(太いJAR)」と呼ばれる、依存関係を含んだ一つのJARファイルを生成します。これにより、Java -jarコマンド一つでアプリケーションを起動でき、デプロイメントが非常に簡単になります。
Spring FrameworkとSpring Bootの違い
- セットアップ: Spring Frameworkは手動で多くの設定が必要ですが、Spring Bootは自動設定によりすぐに開発を始められます。
- 依存性管理: Spring BootはSpring Frameworkの依存性管理をさらに簡単にしています。
- プロジェクトのスケーラビリティ: Spring Bootは小規模から大規模なプロジェクトまで対応可能ですが、Spring Frameworkは多くの場合、大規模なエンタープライズアプリケーションに適しています。
- ドキュメントとコミュニティ: 両者ともに豊富なドキュメントとコミュニティがありますが、Spring Bootは新しいため、よりモダンな問題に対する解決策が多い傾向があります。
まとめ
今回は、Spring Framework・Spring Bootの特徴と違いについて解説しました。
Spring FrameworkはJavaで堅牢なエンタープライズアプリケーションを作る基盤を提供しており、Spring Bootはその上に更なる便利な機能と簡便性を加えたフレームワークです。
初学者がJavaでのWebアプリケーション開発を始める場合、Spring Bootから入って徐々にSpring Frameworkの深い部分を学ぶのが良いでしょう。
次回は、Spring bootのコントローラーについて解説したいと思います。