Gitその他

【集中型vs分散型】SubversionとGitの違いについて【バージョン管理システム】

Git
この記事は約6分で読めます。

はじめに

株式会社インプルの奈良です。

ソフトウェア開発の現場では、プロジェクトのソースコードを効率的かつ安全に管理するために、バージョン管理システムが欠かせません。主に、集中型と分散型の二つのカテゴリーに分かれています。

この記事では、集中型バージョン管理システムの代表格であるSubversion(SVN)と、分散型バージョン管理システムの代表格であるGitの違いに焦点を当て解説します。

集中型バージョン管理システム(CVCS):Subversion(SVN)

Subversion(SVN)は、集中型バージョン管理システムの一つです。

集中型システムでは、バージョン履歴は単一のサーバーに保存され、ユーザーはこのサーバーから最新のファイルを「チェックアウト」します。

作業終了後に変更を「コミット」すると、サーバー上の中央リポジトリが更新されます。

特徴

単一リポジトリ

すべてのファイルと変更履歴は中央サーバーに保存されます。

アクセス管理

誰がどのファイルにアクセスできるか、サーバー側で厳格に管理されます。

ネットワーク依存

作業のたびにサーバーとの通信が必要です。

リスク

サーバーに障害が発生すると、その間履歴へのアクセスができなくなります。

バージョン管理の戦略と要点

集中型バージョン管理システムでは、チームメンバー全員が単一の中央リポジトリにアクセスします。このアプローチの戦略は「一元管理」にあります。

中央集権

全ての操作が中央サーバーを通じて行われ、管理者がアクセス権をコントロールします。

作業フロー

開発者は常に「チェックアウト」と「コミット」を繰り返し、サーバーに変更を同期させます。

簡潔な追跡

一つのリポジトリだけを追跡するため、管理が比較的容易です。

コミュニケーション

開発者間のコミュニケーションが頻繁に必要となります。

メリット

シンプルな構造

集中型システムはサーバーに全てのファイルのバージョンを保存し、クライアントはこのサーバーから最新のコピーをチェックアウトします。このシンプルな構造は理解しやすく、管理も容易です。

アクセス制御とセキュリティ

全ての変更は一か所のサーバーで行われるため、アクセス権限を厳密に管理し、セキュリティを維持しやすいです。

集中化されたバックアップ

一つのリポジトリがあるだけなので、バックアッププロセスが単純であり、全てのデータを安全に保つことができます。

分散型バージョン管理システム(DVCS):Git

一方、Git分散型バージョン管理システムです。

Gitは、各ユーザーがリポジトリの完全なコピーをローカルに持ち、作業が終了した後に変更をリモートリポジトリに「プッシュ」します。

また、GitHubやGitLabという世界中のエンジニアが利用しているソースコード管理サービスも有名です。

過去にGitHubとGitLabの違いについて記事したので、興味のある方はこちらも併せてご参照ください。

特徴

ローカルリポジトリ

各ユーザーはリポジトリの完全なコピーを持つため、オフラインでも作業が可能です。

作業フロー

各開発者が独立して作業し、後で変更を統合します。(分散作業)

ネットワーク独立

ローカルでコミットを行い、ネットワークが利用可能なときに他のリポジトリと同期します。

耐障害性

サーバーに問題があっても、各ユーザーのローカルリポジトリが完全なバックアップとして機能します。

バージョン管理の戦略と要点

分散型バージョン管理システムでは、各開発者がリポジトリの完全なコピーを持ち、個々に作業を進めます。こちらの戦略は「自律分散」に基づいています。

自律性

開発者は自分のローカルリポジトリで独立して作業し、他のリポジトリとは非同期で同期します。

並列作業

同時に多くのブランチが存在し、異なるタスクに対して平行して作業を進められます。

柔軟な統合

様々なブランチを統合することで、複数の開発ラインが同時に維持されます。

レジリエンス

サーバーがダウンしても、ローカルのリポジトリで作業は続けられます。

メリット

ローカルでの作業

分散型システムでは、各ユーザーがリポジトリの完全なコピーを持つことができるため、ネットワークにアクセスせずともローカルで作業を行うことができます。

高速な操作

変更をローカルでコミットするため、ネットワーク遅延の影響を受けません。これにより、日々の作業がより速く、効率的になります。

柔軟なワークフロー

分散型システムでは、複数のリモートリポジトリを持つことができ、様々なブランチやマージ戦略を自由に選択できます。これにより、チームが自分たちの作業スタイルに合ったワークフローを作り出すことができます。

耐障害性

サーバーがダウンしても、各ユーザーのローカルに完全なリポジトリのコピーがあるため、作業の損失や停止を防ぐことができます。

コラボレーションの促進

分散型システムは、チームメンバーが独立して作業し、後で変更を統合することを容易にします。これにより、チームのコラボレーションが促進されます。

結局SubversionとGitってどちらを選ぶべき?

結論から述べると、Subversion(SVN)とGitの間で選択する際には、「どちらが優れているか」ではなく、「どちらがプロジェクトやチームにとって適切か」という観点が重要になります。

SVNは集中型のアプローチを採っており、一元化された管理と安定したセキュリティを提供します。大規模な企業や、厳格なアクセス管理が求められるプロジェクトに適しています。

また、歴史的に広く採用されており、多くの企業で既にSVNに慣れている開発者がいる場合、SVNを選択することが合理的かもしれません。

一方で、Gitは分散型のアプローチを採用しており、高速な作業、柔軟なブランチ管理、ローカルでのコミットなど、迅速で動的な開発が求められる環境に適しています。

特に、リモートワークや分散チームでの開発、頻繁なコード変更や実験的なブランチを扱う場合には、Gitの方が有利です。

最終的には、プロジェクトの規模、チームの構成、作業フロー、セキュリティ要件など、多くの要因を考慮して、SubversionとGitのどちらがチームのニーズに最も適しているかを決定する必要があります。

いずれにしても、バージョン管理システムを選択する際は、現在の要件だけでなく、将来の変化にも対応できる柔軟性を考慮することが重要です。

参考サイト

【GitとSubversionの構造的な違い】GitのブランチはSubversionのブランチとは全く違うモノ~
Decription:Git(ギット)とSubversion(サブバージョン)の構造的な違いを比較して解説します。両者のブランチはまったく違うもの。GitとSubの違いがわからないという方は必読。
GitとSVNの違いとは?基本構造、ブランチ管理、マージの仕方まで詳しく解説 | コラム | aslead | 野村総合研究所(NRI)
GitとSVNの違いを詳しく解説し、バージョン管理システム選びの参考に役立つ情報を提供するコラムです。
https://hmjp.net/archive2019/blog/svn-vs-git/