構文
SwiftUIとFlutterはどちらも宣言型フレームワークですが、構文スタイルに違いがあります。
SwiftUIの例:
struct ContentView: View {
    var body: some View {
        VStack {
            Text("Hello, SwiftUI!")
                .font(.largeTitle)
                .foregroundColor(.blue)
            Button(action: {
                print("Button tapped!")
            }) {
                Text("Click Me")
            }
        }
    }
}
Flutterの例:
import 'package:flutter/material.dart';
class ContentView extends StatelessWidget {
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Column(
      children: [
        Text(
          'Hello, Flutter!',
          style: TextStyle(fontSize: 24, color: Colors.blue),
        ),
        ElevatedButton(
          onPressed: () {
            print('Button tapped!');
          },
          child: Text('Click Me'),
        ),
      ],
    );
  }
}
- 構造: SwiftUIはViewプロトコルとSwiftのドメイン固有言語(DSL)を使用し、自然言語に近い構文です。一方、FlutterはWidgetクラスを用いてUIを構築し、オブジェクト指向的なスタイルです。
- 状態管理: SwiftUIは@Stateや@Bindingなどのプロパティラッパーを使用して状態を管理します。FlutterはStatefulWidgetとsetState()メソッドを用いて状態を更新します。
状態管理
SwiftUI:
struct CounterView: View {
    @State private var count = 0
    var body: some View {
        VStack {
            Text("Count: \(count)")
            Button("Increment") {
                count += 1
            }
        }
    }
}
Flutter:
class CounterView extends StatefulWidget {
  @override
  _CounterViewState createState() => _CounterViewState();
}
class _CounterViewState extends State<CounterView> {
  int count = 0;
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Column(
      children: [
        Text('Count: $count'),
        ElevatedButton(
          onPressed: () {
            setState(() {
              count++;
            });
          },
          child: Text('Increment'),
        ),
      ],
    );
  }
}
コードの簡潔性: SwiftUIの@Stateはビューとデータを自動的にバインドし、コードがより簡潔です。FlutterではsetState()を手動で呼び出してUIの再構築をトリガーする必要があり、コードがやや冗長になります。
アーキテクチャの理念: SwiftUIはSwiftの関数型プログラミングの特性を活用し、状態駆動で直接ビューを更新します。FlutterはWidgetツリーの再構築を通じてビューを更新し、状態はWidgetツリー内で明示的に管理されます。
メモリ管理とパフォーマンス
メモリ分布
SwiftUI: Appleのネイティブサポートを受けており、ランタイムはiOSの低レベルフレームワーク(UIKitやCore Animationなど)と直接連携します。SwiftUIのメモリ分布はSwiftの自動参照カウント(ARC)に依存しており、オブジェクトのライフサイクルは参照カウントで管理されます。ビューは純粋なデータ構造であり、Diffアルゴリズムを通じてメモリ割り当てを最適化します。
Flutter: Dart仮想マシン上で動作し、UIはSkiaエンジンを通じて描画されます。Dartはガベージコレクションメカニズムを採用してメモリを管理し、メモリの割り当てと解放は仮想マシンによって自動的に処理されます。FlutterのWidgetは不変であり、メモリ分布はWidgetツリーの頻繁な再構築に依存します。
パフォーマンスの最適化
SwiftUI: Viewは値型(struct)であり、再構築コストが低いです。Appleは差分戦略を提供しており、更新が必要な部分のみが実際にレンダリングされます。SwiftUIはCore Animationと深く統合されており、アニメーションのパフォーマンスは高効率です。iOSプラットフォームに最適化されており、システム機能と深く統合されているため、アニメーションやインタラクションのパフォーマンスが優れています。
Flutter: パフォーマンスはSkiaエンジンに依存しており、すべてのUI描画はフレームバッファ上に直接レンダリングされ、プラットフォームのネイティブWidgetシステムをバイパスします。Widgetツリーの再構築は頻繁ですが、その不変性とDartの最適化(例えば、オブジェクトの割り当てがヒープではなくスタック上で行われる)により、パフォーマンスは良好です。クロスプラットフォームフレームワークとして、AndroidとiOSの両方で高いパフォーマンスを維持していますが、ネイティブアプリと比較すると、特にグラフィックやアニメーションの面で微細なパフォーマンス差が生じることがあります。
エコシステムとツールチェーン
SwiftUI: Appleのエコシステムに深く統合されており、Xcodeを使用して開発を行います。 Xcodeは強力なコード補完、デバッグツール、インターフェースビルダーを備えており、開発者にとって使いやすい環境を提供します。 ただし、SwiftUIはiOS 13以降のバージョンでのみサポートされており、古いバージョンのiOSデバイスとの互換性に制約があります。 
Flutter: Googleが開発したクロスプラットフォームフレームワークであり、Android、iOS、Web、デスクトップなど複数のプラットフォームでのアプリケーション開発をサポートしています。 Dart言語を使用し、豊富なウィジェットとパッケージが提供されており、開発者は多様なUIコンポーネントを利用できます。 また、ホットリロード機能により、コードの変更を即座に反映させることが可能で、開発効率が向上します。
まとめ
SwiftUIとFlutterは、それぞれの強みと制約を持つ宣言型UIフレームワークです。
- SwiftUI: Appleのエコシステムに最適化されており、Xcodeとの統合によりスムーズな開発体験を提供します。 ただし、iOS 13以降のデバイスに限定されるため、古いデバイスへの対応が必要な場合は注意が必要です。
- Flutter: クロスプラットフォーム対応に優れており、複数のプラットフォームでのアプリケーション開発が可能です。 豊富なウィジェットとホットリロード機能により、開発効率と柔軟性が高い一方、Dart言語の習得が必要です。
プロジェクトの要件や対象とするユーザー層、対応プラットフォームに応じて、適切なフレームワークを選択することが重要です。
